インターネット地図サービス「Google Maps」の北朝鮮の航空写真が物議をかもしています。メインストリートともいうべき黎明通り付近の航空写真です。「横からはビル群に見えるけど実は薄っぺらいハリボテだった」というのです。物議をかもしている航空写真を見てみると、確かにビルが薄く見えます。
でも本当にハリボテなのでしょうか? そもそも本当に黎明通りの写真なのでしょうか? 実際に現地取材をした写真や情報と照らし合わせてみたところ、「黎明通り付近のビルはハリボテ」という情報はデマであることがわかりました。
明確にいえば、薄く見えるビルは実在しますが黎明通り付近ではないし、そもそもハリボテではないということです。よって、拡散されている情報には「黎明通りの写真だ」と「ハリボテだ」のふたつのデマが含まれています。
そもそも、建築技術的に高層ビルのハリボテを作るのは、極寒で強風が吹く北朝鮮の気候において不可能なことです。
元ネタになってしまった薄いビル群ですが、それはマンション群で、平屋の施設や民家を囲むように建てられています。そういう建てかたは北朝鮮で珍しい事ではなく、あらゆる場所にあることが「Google Maps」でも目視できるかと思います。もうひとつ付け足せば、薄く見えるだけで日本の団地のマンションレベルの厚さはあります。
「ハリボテだ」と言われている黎明通り付近に行った際、周囲には複数のビルが立てられていました。黎明通りに通じている凱旋門(Arch of Triumph)付近にも行きましたが、寂しい風景ではありましたがしっかりとビルが建っていました。ビルの横にまわって裏側を見る事もありましたが、ハリボテではありません。
平壌最大級のホテル「ヤンガクトホテル」や主体思想塔の上階から平壌の街を見たり撮影したりしましたが、いっさいハリボテ感はありませんでした。
北朝鮮政府の姿勢や行為は許されるものではありませんが、だからといってデマを流し、煽るような行為も許されることではありません。
北朝鮮問題は感情的な情報が拡散されることが多いぶん、冷静に判断し、自分の思想とは切り分け、鵜呑みにしないことが大切だと思われます。デマに踊らされるのもデマ拡散の手伝いをすることになりますのでご注意ください。
もっと詳しく読む: 北朝鮮のビルはハリボテなのか? 実際に北朝鮮に行ってビルを調べてみた結果 → デマでした(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2017/04/17/haribote/